断熱塗料と遮熱塗料の違い|業界団体とメーカーの説明

最終更新:2026年11月1日

「遮熱」は太陽光の赤外線を反射して塗った面の温度上昇を抑える機能、「断熱」は熱を伝えにくくする機能として、メーカー各社が説明しています。どちらも夏の暑さ対策として案内されますが、仕組みと評価の方法が異なります。このページでは、業界団体とメーカーの公式ページの記載だけで違いを整理します。出典の確認日:2026年11月1日(出典は各節の末尾に記載)

日本塗料工業会の整理

  • 遮熱塗料は3つの機能の総称日本塗料工業会のリーフレットは、遮熱塗料を「熱を遮蔽する塗料の総称」とし、日射反射機能・断熱機能・放熱機能を挙げています。
  • 太陽光の下で効果が大きいのは日射反射同リーフレットは、太陽光下では塗膜による断熱機能や放射機能の効果は少なく、日射反射機能が最も効果を発揮すると説明しています。従来から販売されている断熱塗料や放熱塗料は、熱を持ったり発熱したりする物体に塗られる場合が多い特殊用途向けの塗料としています。
  • 機能の違いを横並びで比べる方法日本塗料工業会は、JIS K 5603で求める日射侵入比を使うことで、日射反射以外の断熱・放射などの機能にかかわらず、塗膜の内側に通過する熱量として遮熱性能を横並びで比較評価できるようになったと説明しています。
  • JIS K 5675JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」では、日射反射率や耐久性等の品質が規定されていると説明しています。

出典:日本塗料工業会「遮熱塗料普及リーフレット」(PDF・2025.12.02改定)、日本塗料工業会「遮熱塗料(屋根用)自主管理」(2026年11月1日確認)

関西ペイントの説明(遮熱と断熱を組み合わせた工法)

関西ペイントは「アレスダイナミックECO断熱遮熱工法」を「外壁用多機能形断熱遮熱システム」としています。上塗(アレスダイナミックTOP遮熱)で赤外線を反射し、上塗を一部透過した赤外線を下塗で反射する機能を遮熱、中塗(アレスダイナミックECO断熱)が発生した熱の流入を抑える機能を断熱として、別々に説明しています。

断熱の仕組みは、中塗に使っている「特殊マイクロ中空バルーン」が熱を伝えにくくする空気層をつくり、熱伝導率を小さくすることで、素材表面に蓄積された熱や外気からの熱を伝えにくくする、と説明しています。

同社がハロゲンランプを照射した塗板の試験(塗色KP-367R、従来微弾性フィラー工法との比較)では、遮熱機能で15.0℃の表面温度低減、断熱機能が加わって21.4℃の裏面温度低減が確認されたと記載しています。

出典:関西ペイント「アレスダイナミックECO断熱遮熱工法」カタログ(PDF)(2026年11月1日確認)

GAINA(日進産業)の説明

  • 製品の位置づけ日進産業はGAINAを「断熱セラミック塗材」とし、製品ページで「薄膜で熱の移動をコントロールし、夏季も冬季も効果を発揮する唯一の断熱塗材です」と説明しています。屋根・外壁・内装に使用できるとしています。
  • JIS K5675製品ページに「※GAINAはJIS K5675適合品です」と記載しています。
  • 仕組み断熱性能や遠赤外線の放射特性に優れた特殊中空セラミックビーズを塗料化したと説明しています。
  • 色の影響よくある質問で、色により遮熱性能が低下するが、GAINAの特性により断熱性能への影響はないと回答しています。
  • 塗り替え時期の目安よくある質問で、一般環境下で15~20年が目安と回答しています。
  • 防水材ではないよくある質問で、GAINAは防水材ではないため防水目的では使用できず、防水材のトップコート(保護材)として使用できると回答しています。

出典:日進産業「GAINA(屋根・外壁・内装用)|断熱塗料」、日進産業「GAINA(ガイナ)とは|JAXA技術を応用した断熱塗材」、日進産業「よくある質問|GAINAの性能・施工・価格」(2026年11月1日確認)

遮熱と断熱の違い(公式の記載から整理)

項目遮熱(高日射反射率塗料)断熱(メーカーの説明)
仕組み太陽光に含まれる赤外線を反射する(日本塗料工業会・関西ペイント)中空のバルーン・セラミックビーズで熱を伝えにくくする(関西ペイント・日進産業)
色の影響暗く濃い色ほど日射反射率は低い(関西ペイント)GAINAは、色で遮熱性能は低下するが断熱性能への影響はないと説明
関係する規格・評価JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」、日射反射率の測定はJIS K 5602(関西ペイントの注記)日本塗料工業会は、断熱など機能を問わず日射侵入比(JIS K 5603)で比較できるとしている
区の助成の条件杉並区・足立区は近赤外線領域の日射反射率50%以上を条件にしている断熱をうたう塗料でも、助成の判断は日射反射率の条件で行われる

断熱をうたう製品でも、区の遮熱塗装の助成を使う場合は、塗料・塗料色の日射反射率が条件を満たすかを確認する必要があります。杉並区は、パンフレット等で分からない場合に第三者機関の性能証明書の提出を求めています。

出典:日本塗料工業会「遮熱塗料普及リーフレット」(PDF・2025.12.02改定)、日本塗料工業会「遮熱塗料(屋根用)自主管理」、関西ペイント「アレスダイナミックTOP遮熱」カタログ(PDF)、関西ペイント「アレスダイナミックECO断熱遮熱工法」カタログ(PDF)、日進産業「GAINA(ガイナ)とは|JAXA技術を応用した断熱塗材」、日進産業「よくある質問|GAINAの性能・施工・価格」、杉並区「【エコ住宅促進助成】高日射反射率塗装」、足立区「【8月21日受付終了】省エネリフォーム補助金(事前申請)」(2026年11月1日確認)

見積もりの依頼先

よくある質問

Q断熱塗料と遮熱塗料の違いは何ですか?
A

メーカー各社の説明では、遮熱は赤外線を反射して塗った面の温度上昇を抑える機能、断熱は中空のバルーンやセラミックビーズで熱を伝えにくくする機能です。日本塗料工業会は、遮熱塗料を日射反射・断熱・放熱機能の総称とし、太陽光の下では日射反射機能が最も効果を発揮すると説明しています。

QJIS K 5675とは何の規格ですか?
A

日本塗料工業会のリーフレットによると、JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」は、日射反射率や耐久性等の品質を規定する規格です。GAINAの製品ページには「JIS K5675適合品」と記載されています。

Q断熱塗料は冬にも効果がありますか?
A

日進産業は、GAINAについて夏季も冬季も効果を発揮すると説明し、冬は熱源が室内にあり、断熱性能により保温されるので熱損失を防ぐと回答しています。効果の程度は建物の条件で変わるため、メーカーの資料と業者の説明で確認してください。

Q断熱塗料でも遮熱塗装の助成金を使えますか?
A

杉並区・足立区の遮熱塗装の助成は、近赤外線領域の日射反射率50%以上の塗料(色)であることが条件です。断熱をうたう塗料でも、選んだ色の日射反射率が条件を満たすかを確認する必要があります。