外壁塗装と石綿(アスベスト)の事前調査【2026年版】対象となる工事と発注者が確認すること

最終更新:2026年10月17日

建物の解体や改修の工事では、工事の前に石綿(アスベスト)が含まれているかどうかを調べる事前調査が法令で求められています。戸建て住宅のリフォームも対象であり、外壁塗装の見積書に「石綿事前調査」の項目が記載されることがあります。当ページでは、厚生労働省と環境省が公表している内容をもとに、発注者として把握しておくべき事項をご説明します。個別の工事が調査や報告の対象になるかどうかは、施工業者や所管の労働基準監督署・自治体にご確認ください。

事前調査に関する主な定め

以下は、厚生労働省の「石綿総合情報ポータルサイト」に掲載されている内容です。

01規模にかかわらず事前調査が必要

解体・改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず、工事前に作業に係る部分の全ての材料について石綿含有の有無の事前調査を行う必要があるとされています。規制対象となる改修工事には、戸建て住宅やアパート・マンション占用部分のリフォームも含まれます。

02書面と目視の両方で調査する

事前調査は、設計図書等の文書による調査(文書が存在しない場合を除く)と、目視による調査の両方を行う必要があるとされています(2021年4月から)。

03建築物の調査は有資格者が行う

2023年10月から、建築物の事前調査は建築物石綿含有建材調査者などの一定の要件を満たす者が行う必要があります。資格には、一戸建て住宅と共同住宅の住戸の内部に限定した「一戸建て等石綿含有建材調査者」もあります。

04一定規模以上の工事は結果の報告が必要

2022年4月から、請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事などは、石綿の有無にかかわらず、元請事業者が労働基準監督署と自治体に事前調査結果を報告する義務があります。報告は「石綿事前調査結果報告システム」で行います。調査結果の記録は3年間保存するとされています。

出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「解体・改修工事の施工業者の方へ」・「石綿事前調査結果報告システム」(2026年10月17日確認)。

外壁塗装との関係

環境省の通知(令和2年11月30日)では、建築物の内外装仕上げに用いられる建築用仕上塗材のうち、石綿を含有するもの(石綿含有仕上塗材)が規制の対象となる建材に追加されました。過去に施工された外壁の仕上塗材に石綿が含まれている可能性があるため、外壁の改修工事でも事前調査が必要となる場合があります。

同じ通知では、既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業など、現存する材料の除去を行わず新たな材料を追加するのみの作業は、事前調査が不要な作業として挙げられています。一方で、外壁塗装では高圧洗浄や下地調整(ケレン)で既存の塗膜を削る工程を伴うことが多く、どの工程が調査の対象になるかは工事の内容によって変わります。

厚生労働省のポータルサイトでは、石綿が含まれている仕上塗材をディスクグラインダー等を用いて除去する工事では、作業場を隔離する必要があるとされています(2021年4月から)。

出典:環境省「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について(通知)」、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「改正のポイント」(2026年10月17日確認)。工程ごとの扱いは、施工業者と所管の行政機関にご確認ください。

発注者に求められていること

建物の情報を施工業者に提供する

石綿の有無を確認するうえで有用な情報(設計図書、建築確認申請の副本など)を施工業者に提供するなどの配慮をすることが求められています。新築時の図面や過去の塗り替えの記録があれば、見積もりの段階で業者に渡してください。

調査の費用を適正に負担する

事前調査の費用と、石綿の使用が明らかになった場合の除去等工事に必要な費用を適正に負担し、施工業者が法令を守って調査・工事を行えるよう、工期や作業方法の条件に配慮することが求められています。

見積書に調査費用が計上されているか確認する

厚生労働省は、解体・改修工事を発注する場合には、事前調査費用が計上されていることを確認するよう案内しています。

出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「発注者の方へ」・「解体・改修工事の発注者の方へ」(2026年10月17日確認)。

見積もりの段階で確認すべき事項

  • 事前調査の実施者と方法誰が(資格の有無)、どの範囲を、書面と目視のどちらで調査するのかを確認します。
  • 調査費用の計上見積書に事前調査の費用が含まれているか、別途となるのかを確認します。
  • 石綿が見つかった場合の対応工法の変更、追加費用、工期への影響をどのように説明するのかを、契約前に確認します。
  • 報告の要否請負金額が税込100万円以上となる場合は、元請事業者による報告が必要です。報告を行う旨の説明があるかを確認します。

見積書や契約書の確認事項は契約前に確認する書類のページ、費用の内訳の考え方は費用・相場のページ、工程の流れは工事の流れのページに掲載しています。

よくある質問

Q築年数が浅い家でも事前調査は必要ですか?
A

厚生労働省のポータルサイトでは、解体・改修工事は規模の大小にかかわらず事前調査を行う必要があるとされています。調査の方法や範囲は建物と工事内容によって異なるため、施工業者にご確認ください。

Q外壁塗装の見積書に石綿調査の費用が入っていました。必要な費用ですか?
A

厚生労働省は、発注者は事前調査の費用を適正に負担し、見積もりに調査費用が計上されているか確認するよう案内しています。金額の内訳や調査の方法については、業者に説明を求めてください。

Q石綿が見つかった場合、外壁塗装はできなくなりますか?
A

石綿の有無や工法によって必要な対策が変わるため、当サイトでは一律に判断できません。施工業者から、工法の変更や追加の対策、費用と工期への影響について説明を受けてください。

Qどこに相談すればよいですか?
A

法令の適用については、工事を行う地域の労働基準監督署や自治体の担当窓口が所管しています。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトにも、発注者向けの情報が掲載されています。