外壁と屋根の塗装を同時に行う場合の確認事項【2026年版】足場の共用・工程・屋根材ごとの注意

最終更新:2026年10月21日

外壁塗装の見積もりを依頼すると、屋根の塗装もあわせて提案されることがあります。外壁と屋根はいずれも高所の作業であり、同じ時期に施工すれば足場を共用できますが、屋根は屋根材の種類によって塗装の可否や必要な処理が異なります。当ページでは、国土交通省の仕様書、屋根材メーカー・塗料メーカーの公式資料、厚生労働省の資料をもとに、外壁と屋根を同時に塗装する場合に発注者として確認すべき事項をご説明します。費用の金額は掲載していません。

足場を共用する場合の考え方

外壁と屋根を同じ時期に施工する場合、外壁の工事のために組んだ足場を屋根の工事にも使う形が一般的です。足場に関しては、次の定めがあります。

01高さ2メートル以上の作業では作業床が必要

労働安全衛生規則第518条では、高さが2メートル以上の箇所で作業を行い、墜落の危険があるときは、事業者は足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けなければならないとされています。足場の役割は外壁塗装の足場のページでご説明しています。

02公共工事では、組んだ足場を関連工事の関係者が使う

国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書では、定置する足場や作業構台は、関連工事等の関係者に無償で使用させると定められています。公共工事の仕様ですが、1つの足場を複数の工事で共用するという考え方は、戸建住宅で外壁と屋根を同時に施工する場合にも当てはまります。

03屋根の作業には屋根工事用の足場の基準がある

同じ仕様書では、屋根工事における墜落事故防止対策として、JIS A 8971(屋根工事用足場及び施工方法)の施工標準に基づく足場と装備機材を設置するとされています。外周の足場とは別に、屋根の上で作業するための足場や設備が必要になる場合があるため、見積書でどこまでが足場の項目に含まれているかを確認します。

出典:労働安全衛生規則第518条(e-Gov法令検索)、国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」2.2.1[足場等](いずれも2026年10月21日確認)。

同時に施工する場合の工程と天候

外壁と屋根を同時に施工すると、足場の設置と解体は1回で済みますが、塗装の工程はそれぞれに必要です。国土交通省の仕様書では、塗装工事について次のように定められています。

  • 気温・湿度・結露の条件気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露などで塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わないとされています(採暖・換気などを適切に行う場合を除く)。
  • 降雨と強風外部の塗装は、降雨のおそれがある場合や強風時は、原則として行わないとされています。雨天で順延した場合は、屋根と外壁の両方の工程に影響します。
  • 工程の間隔各塗装工程の間隔時間と最終養生時間は、材料の種類や気象条件などに応じて適切に定めるとされています。屋根と外壁で異なる塗料を使う場合は、それぞれの下塗り・中塗り・上塗りの日程が工程表に示されているかを確認します。
  • 塗装できなくなる部分を先に仕上げる組立や取付け、工事の取合いの関係で塗装が困難になる部分は、あらかじめ仕上げ塗りまで行うとされています。屋根と外壁の取合い部分や、棟板金・雨樋などの付帯部をどの順序で施工するかを、工程表で確認します。

季節ごとの注意点は塗装に適した時期のページ、工事全体の流れと生活への影響は工事の流れのページに掲載しています。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7.1.4[施工一般]・7.1.6[施工管理](2026年10月21日確認)。

屋根材ごとの注意

屋根の塗装は、屋根材の種類によって塗装の要否や必要な処理が異なります。以下は、屋根材メーカーと塗料メーカーが公開している資料の内容です。ご自宅の屋根材の種類と製品名は、建築した住宅会社・工務店にご確認ください。

屋根材メーカー資料に記載されている内容
化粧スレートケイミューは、カラーベストの再塗装には各屋根材の専用塗料を使うよう案内しています。市販の塗料では、種類によって再塗装後数年で剥離することがあるとしています。また、水切り部に塗料がたまると雨漏れにつながるため必ず「縁切り」を行うこと、ただし差し込み型の縁切り補助部材は割れの原因になるため使用しないことを示しています。
粘土瓦(陶器瓦)粘土瓦メーカーの鶴弥は、同社の粘土瓦について、粘土と釉薬を高温で焼き締めた表面がガラス質の被膜で覆われており、塗装を塗り替えるなどのメンテナンスは必要ないと説明しています。あわせて、専門業者による定期点検を10年に1回程度を目安として実施するよう案内しています。
塗装ガルバリウム鋼板(金属屋根)タニタハウジングウェアは、一般的な塗装ガルバリウム鋼板の目安として、一般地域では最初の点検を10〜12年、塗り替えを11〜15年、工業・海岸地域では点検を8〜10年、塗り替えを9〜12年と示しています。再塗装の目安は、塗膜面がチョーキングの末期状態でふくれが散見される状態としています。年数は目安であり保証するものではないとされています。

屋根用塗料は適用できる屋根材が決まっている

日本ペイントの化粧スレート用塗料「ファインシリコンベスト」は、住宅用化粧スレートと波形スレートを適用下地とし、シングル材、洋風瓦(コンクリート瓦など)、和瓦(いぶし瓦・釉薬瓦など)、金属系屋根を不適としています。見積書に記載された屋根用塗料が、ご自宅の屋根材に適用できる製品であるかを確認します。

化粧スレートの色あせは、基本性能の低下とは限らない

ケイミューは、同社の屋根材の表面の色が薄くなった場合でも、基材に損傷などがなければ防水性などの基本性能に問題はなく、再塗装は美観の回復・向上を図るためのものと説明しています。窯変調の色合いは再塗装では再現できないとしています。

雨漏りは再塗装では直らない

ケイミューは、雨漏りが発生した場合は雨漏り箇所を特定して適切な処置を行うよう示し、雨漏りは再塗装では直らないとしています。また、誤った塗装(施工方法)は雨漏りなどを引き起こす原因になるとしています。

棟板金などの金属部材と下地の木材

同社の資料では、屋根のメタル役物(棟板金など)にサビが発生している場合はサビを取り除いてから再塗装するか取り替えること、再塗装の際に棟の笠木などの木材が腐朽していないかを確認し、腐朽している場合は取り替えることが示されています。

出典:ケイミュー「リフレッシュコート(グランネクスト/カラーベスト周辺部材)」「ケイミュー屋根材 住宅外まわりのメンテナンスについて(コロニアルクァッド)」(2024年7月現在)、鶴弥「防災瓦 カタログ」(2017年5月現在)、タニタハウジングウェア「ガルバリウム鋼板(タニマットカラー)のメンテナンスについて」、日本ペイント「ファインシリコンベスト」(いずれも2026年10月21日確認)。各社の記載は自社製品または一般的な目安を対象としたものです。

化粧スレートと石綿(アスベスト)

厚生労働省のパンフレット「建物を解体・改修するには −石綿を含むスレート板、ビニル床タイルに注意!−」では、石綿が使用されている可能性がある建材の例として、屋根材の「スレート波板」「住宅屋根用化粧スレート」が挙げられています。厚生労働省の委託事業で作成された講習会テキスト(平成21年度版)では、石綿を含有する住宅屋根用化粧スレートの製造時期を2004年までとしています。

建築物の改修工事では、規模にかかわらず工事前に石綿の事前調査が必要です。屋根の塗装で高圧洗浄やケレンを行う場合を含め、事前調査の範囲に屋根が含まれているかを見積もりの段階で確認します。国土交通省の仕様書でも、改修部に石綿などの有害物質を含む材料が使用されていることが判明した場合は、監督職員と協議するとされています。

事前調査の対象や発注者に求められる事項は、石綿(アスベスト)の事前調査のページに掲載しています。

出典:厚生労働省「建物を解体・改修するには −石綿を含むスレート板、ビニル床タイルに注意!−」、厚生労働省委託事業「石綿含有建材の石綿含有率測定に係る講習会テキスト(平成21年度版)」、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「発注者の方へ」、国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7.1.8(いずれも2026年10月21日確認)。

見積書・契約前に確認すべき項目

  • 屋根材の種類と製品名化粧スレート、粘土瓦、金属屋根のいずれか、製品名が分かるかを確認します。屋根材によっては塗装ではなく点検や補修が適している場合があります。
  • 屋根と外壁が別の項目で記載されているか塗装面積、塗料の製品名、塗り回数が屋根と外壁で分けて記載されているかを確認します。「屋根・外壁塗装 一式」のみの記載であれば、内訳の提示を依頼します。
  • 屋根用塗料の適用下地見積書の屋根用塗料が、ご自宅の屋根材に適用できる製品かを確認します。化粧スレートでは、屋根材メーカーが専用塗料を指定している場合があります。
  • 縁切りの方法化粧スレートの場合、縁切りを行うか、どの方法で行うかを確認します。ケイミューは差し込み型の縁切り補助部材を使用しないよう示しています。
  • 棟板金・雨樋など付帯部の範囲棟板金のサビ処理や下地木材の交換、雨樋などの付帯部が塗装範囲に含まれているかを確認します。
  • 足場の範囲外周の足場に加えて、屋根上の作業用の足場や設備が含まれているかを確認します。
  • 工程表と雨天時の扱い屋根と外壁それぞれの塗装工程の日程と、雨天で順延した場合の工期・費用の扱いを確認します。
  • 石綿の事前調査事前調査の範囲に屋根が含まれているか、調査費用が計上されているかを確認します。
  • 保証の対象と期間保証書で、屋根と外壁の保証期間がそれぞれ何年か、対象となる不具合は何かを確認します。

見積書・契約書の確認事項は契約前に確認する書類のページ、保証書の項目は保証の確認方法のページ、費用の内訳の考え方は費用・相場のページに掲載しています。訪問営業で屋根の無料点検を持ちかけられた場合の対応は訪問営業への対応のページでご説明しています。

よくある質問

Q外壁と屋根は必ず同時に塗装する必要がありますか?
A

必ず同時に行う必要はありません。同時に施工すれば足場の設置と解体が1回で済みますが、屋根材の種類や傷み具合によっては、屋根の塗装が不要な場合や、塗装以外の補修が適している場合があります。現地を確認した業者に、同時に施工する場合と外壁のみの場合の両方の見積もりを依頼すると判断しやすくなります。

Q瓦屋根も塗装が必要ですか?
A

粘土瓦メーカーの鶴弥は、同社の粘土瓦は表面がガラス質の被膜で覆われており、塗装を塗り替えるなどのメンテナンスは必要ないと説明し、専門業者による10年に1回程度の定期点検を案内しています。セメント瓦やコンクリート瓦など、瓦の種類によって扱いが異なるため、ご自宅の屋根材の種類を住宅会社・工務店にご確認ください。

Q屋根を塗装すれば雨漏りは直りますか?
A

化粧スレートのメーカーであるケイミューは、雨漏りは再塗装では直らないとし、雨漏り箇所を特定して適切な処置を行うよう示しています。雨漏りがある場合は、塗装の前に原因の調査と補修について業者から説明を受けてください。

Q同時に施工すると足場代はどのくらい変わりますか?
A

足場の費用は建物の大きさや形状、屋根の勾配、設置できる範囲によって変わります。当サイトでは条件別の金額を独自に調査していないため、当ページでは金額を掲載していません。同時に施工する場合と別々に施工する場合の見積もりを、同じ業者に依頼して比較してください。