モルタル外壁の塗り替え|ひび割れの対応と弾性塗料

最終更新:2026年11月1日

モルタル外壁は、ひび割れへの対応と塗り替えをあわせて考える外壁材です。日本住宅モルタル外壁協議会は、ひび割れの幅や外壁の構法によって必要な対応が異なると説明しています。このページでは、同協議会・国土交通省・塗料メーカーの公式ページの記載だけで、塗り替えの前に確認したい点を整理します。出典の確認日:2026年11月1日(出典は各節の末尾に記載)

日本住宅モルタル外壁協議会とは

モルタル外壁の材料から設計施工に関わる団体・企業と大学の研究者で構成する団体で、事務局は日本建築仕上材工業会内にあります。副会長には日本左官業組合連合会の役員が就いており、モルタル塗り仕上げの維持管理等に関する情報提供を活動内容に挙げています(令和8年6月現在の役員一覧による)。

出典:日本住宅モルタル外壁協議会「協議会について」(2026年11月1日確認)

ひび割れの原因

  • 乾燥収縮外壁工事の途中や塗装をしない左官仕上げの場合、モルタルが乾燥硬化する際の収縮により微細なひび割れを生じることがあるとしています。
  • 施工に起因するもの建物完成直後のひび割れは、モルタルの乾燥が不十分なまま塗装した、養生中に急激な乾燥を生じた、ラスの留め付けが不十分だったなど、施工に起因する場合があるとしています。
  • 塗膜の経年劣化塗装された外壁では、経年劣化により塗膜の分子間結合が切れてひび割れを生じることがあるとしています。
  • 揺れ・振動地震や強風による建物の大きな揺れ、大型車両の頻繁な往来など繰り返しの振動でひび割れることがあるとしています。
  • 伸縮する箇所窓まわりのシーリング材の上など、伸縮を担う箇所に伸縮しない仕上げ材を施すと、動きに追随できずひび割れを生じることがあるとしています。

0.3mm程度までの細いひび割れは、髪の毛のように見えるため「ヘアクラック」とも呼ばれると説明しています。

出典:日本住宅モルタル外壁協議会「ひび割れ補修」(2026年11月1日確認)

ひび割れの幅ごとの対応(日本住宅モルタル外壁協議会)

ひび割れの状態協議会の説明
幅0.1mm以下特段の処置を要しない。気になるようであれば、同一の仕上げ材料で目立たなくするとよい。
幅0.1mmを超えるひび割れの発生状況と外壁構造によって対応が異なる。
単層下地通気構法で、幅0.3mm程度以下の単独ひび割れで長さが短い放置しておいて大きな問題に至ることは考え難い。
下地直張り構法で、幅0.2mmを超える発生部位や仕上げに適した方法で塞ぐことを勧める。
細いひび割れが複数本集中している・同一面に多数ある下地や構造体に何らかの故障が生じている可能性もあるため、業者や工事店に点検を依頼することを勧める。
周辺に浮きや変色がある剥落リスクも懸念されるため注意が必要。専門家か有識者がいる工事店に相談することを検討する。

同協議会は、降雨後など内部が湿潤状態のときに塞ぐ作業は避け、ひび割れ部分をラップ等で覆い、外壁が温まったときにラップに水蒸気が付くようであれば残留水分があると判断して作業を延期するなどの柔軟性も必要としています。

専門業者の作業として、軽微なものは洗浄・下処理をして仕上げ材を施し、軽度なら割れている部分に補修用セメント材や充填材を注入して仕上げ材を施し、中度以上は発生要因を考察して状況次第では部分的に剥がし取って修復工事を行うと説明しています。

出典:日本住宅モルタル外壁協議会「ひび割れ補修」(2026年11月1日確認)

国土交通省の改修工法(公共建築の標準仕様)

国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」は、官庁施設の営繕のための基準です。モルタル塗り仕上げ外壁の改修工法として、次の種類を示しています(4.1.4)。

部位改修工法の種類
ひび割れ部樹脂注入工法、Uカットシール材充填工法、シール工法
欠損部充填工法、モルタル塗替え工法
浮き部アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法、アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法、アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法、注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法、注入口付アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法、注入口付アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法、充填工法、モルタル塗替え工法

ひび割れ部から漏水が見られる場合、周辺のモルタルに浮きが見られる場合、錆汁が出ている場合は、改修方法について事前に協議するとしています(4.3.2)。住宅の見積書でも、ひび割れ・欠損・浮きのどれをどの工法で補修するかが書かれているかを確認すると、工事内容を比べやすくなります。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」4.1.4・4.3.2(PDF)(2026年11月1日確認)

チョーキングと再塗装

同協議会は、チョーキング(外壁を触ると手に白い粉がつく現象)は塗装が劣化し、ダメージから守る効果が薄れていることを意味すると説明しています。放置すると進行し、ひび割れや剥がれに至ることもあるとしています。

再塗装の作業としては、既存塗料の撤去、(場合によっては浸透系下地処理剤で固定化)、シーラー等下地処理、下塗り塗装、上塗り塗装を挙げ、可能な限りモルタル外壁構法にも精通している工事店に相談するよう案内しています。

出典:日本住宅モルタル外壁協議会「チョーキング・再塗装」(2026年11月1日確認)

ひび割れに追従する塗装仕様(メーカーの記載)

製品メーカー公式の記載
透湿弾性シリコントップ菊水化学工業透湿弾性タイルシリーズとの組み合わせで防水性能、優れた透湿性で内部結露を防ぐと説明。JIS A 6909 防水形複層塗材E(透湿弾性タイル・Lベース)等に適用。設計価格材工共6,300円/㎡(透湿弾性タイル・L、下塗を含む凹凸仕上の価格。同一色300㎡以上を基準とし、下地調整費を含まない)
グランセラ®トップ 1液水性日本ペイント弾性タイプの主材(下塗り)と組み合わせることで、外壁のひび割れに追従でき、各種弾性形塗料の塗り替えに適応できると説明
エスケープレミアム無機エスケー化研有機樹脂の柔軟性を併せ持つため、「水性弾性サーフエポ」などとの組み合わせにも使用できると説明
パーフェクトトップ®Si日本ペイント耐候形1種に相当し、可とう形改修塗材Eの上塗りに最適と説明。材工価格の欄に「なみがた(塗り替え・コンクリート・モルタル等)」4,930円/㎡(3工程・下塗りがパーフェクトフィラーの場合)

ひび割れへの追従性は、上塗りの製品名だけでなく、下塗り(主材)との組み合わせで決まると各社は説明しています。見積書では上塗りと下塗りの製品名をそれぞれ確認します。

出典:菊水化学工業「透湿弾性シリコントップ」製品情報、日本ペイント「グランセラ®トップ 1液水性」製品ページ、エスケー化研「エスケープレミアム無機」製品情報、日本ペイント「パーフェクトトップ®Si(遮熱オプション含む)」製品ページ(2026年11月1日確認)

見積もりの依頼先

よくある質問

Qモルタル外壁の細いひび割れは放置してよいですか?
A

日本住宅モルタル外壁協議会は、幅0.1mm以下は特段の処置を要しないとしています。単層下地通気構法で幅0.3mm程度以下の単独で短いひび割れは大きな問題に至ることは考え難い一方、下地直張り構法で幅0.2mmを超えるものは塞ぐことを勧めています。複数本が集中している場合や浮き・変色がある場合は点検を勧めています。

Q地震でモルタル外壁にひび割れが入りました。
A

同協議会は、大地震でひび割れた箇所は構造体の損傷箇所と一致することが多く、重点点検箇所の目安になるとしています。ひび割れの周辺に浮きや変色がある場合は剥落リスクも懸念されるため、専門家がいる工事店に相談するよう案内しています。

Qモルタルの浮きはどう補修しますか?
A

国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書では、モルタル塗り仕上げ外壁の浮き部の改修工法として、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法など8種類を示しています。工法は状況に応じて選ばれるため、見積書に補修の範囲と工法が書かれているかを確認してください。